水素の作用メカニズムに関する研究

◆ 水素水の疾患・症状に対する効果効能

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  • ■水素(H2)の抗酸化治療物質としての有用性
  • 学術雑誌名:

    Nature Medicine(電子版) 5/7,2007

    表題:

    Hydrogen acts as a therapeutic antioxidant by selectively reducing cytotoxic oxygen radicals
    (水素は、酸素ラジカルの細胞毒性を選択的に還元することにより、治療用抗酸化物質として作用する)

    著者:

    太田成男 他 (日本医科大学老人病研他)

    概要:

    急性の酸化ストレスは、深刻な組織損傷を引き起こし、持続性の酸化ストレスは癌など、 多くの一般的な疾患の原因の一つであることが認められている。
    水素(H2)には抗酸化物質として、予防と治療への応用の可能性が有ることを以下の方法で示した。
    先ず培養細胞レベルでは、3つの方法により急性酸化ストレスを誘導し、H2は最も細胞毒性が強い、活性酸素種(ROS)であるヒドロキシラジカルを、選択的に 還元し効果的に細胞を保護したが、生理的に大切なその他のROSとは、反応しないことを示した。
    さらに動物個体レベルでは、局所的な虚血-再潅流により 脳で誘導された、酸化ストレス損傷の急性ラットモデルを用い、H2ガスの吸引により顕著に脳の損傷が抑制されることを明らかにした。
    H2ガスの吸引は選択的で効果的な抗酸化治療として、利用できることを初めて実証した。

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  • ■ 水素(H2)は酸化ストレスを抑制してミトコンドリア病を改善
  • 学術雑誌名:

    Biochim. Biophys. Acta, doi:10.1016/j.bbagen.2011.05.006

    表題:

    Molecular hydrogen is a novel antioxidant to efficiently reduce oxidative stress with potential for the improvement of mitochondrial diseases
    (分子水素は酸化ストレスを効率的に抑制する新たな抗酸化剤としてミトコンドリア病を改善する)

    著者:

    太田成男(日本医科大学老化科学研究所)

    概要:

    ミトコンドリアは主たる酸化ストレスの起源であり、酸化ストレスは組織障害を起こし多くの疾患や、ガン、老化の引き金となる。
    これまで、副作用の少ない有用な抗酸化剤の開発は進んでいなかったが著者らは分子水素が医療応用に適した潜在力のある抗酸化剤である事を発見し発表してきた。それ以降、水素の医療応用研究は生理学的な作用に加えて臨床応用まで多くの論文が発表されるに至った。
    水素は非常に利便性の高い素材であり、水素ガスの吸引、水素水の飲水、注射剤、眼科点眼剤、更には腸内での水素ガス産生の増強等によって多岐の利用が可能であることが報告されてきた。
    この様に水素は抗酸化作用による予防用途としての応用のみならず抗炎症、抗アレルギー等が認められている。予備的な臨床試験においてミトコンドリア病の病理を改善する事もわかってきた。
    著者らの研究により水素は予防的のみならず治療用途としてもその有用性は明らかになってきたが低用量でも効果が見られる等の点に関して更なる作用機作の研究も残っている。著者は94の論文を紹介して水素の医療応用の将来性について総説的に解説している。

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  • ■分子水素は酸化ストレス抑制と合わせて新たな機作により軟骨細胞を守る
  • 学術雑誌名:

    Medical Gas Research,2011,1:18

    表題:

    Molecular hydrogen protects chondrocytes from oxidative stress and indirectly alters gene expressions through reducing peroxynitrite derived from nitric oxide

    著者:

    T. Hanaoka et al(日本医科大学)

    概要:

    分子水素(H2)は酸化ストレス、炎症、アレルギー等の動物モデル及びヒトの臨床において多彩な防御機能があることが報告されている。本研究では分子水素(H2)の抗酸化作用に加えて新たな生理機能を解明する目的で水素がNO・(酸化窒素)からできるONOO-の減少を介して間接的に遺伝子発現制御に関わっている可能性を検討した。 豚の後肢及びラットの軟骨細胞の培養系にS-nitroso-N-acetylpenicillamine(SNAP)を加えてNO・を発生させてこれに水素添加するあるいは添加しないグループ間で水素の軟骨細胞保護作用を比較検討した。効果は窒素化たんぱく質量、細胞死を指標とし、これに関わる細胞膜酵素のmatrixmetalloproteinasesの変化,軟骨細胞たんぱく質、関連する遺伝子の変化等を測定した。
    その結果、分子水素(H2)は軟骨細胞のNOに起因する酸化ストレスを抑制すると同時にONOO-の副作用である遺伝子発現を制御する新たな作用により軟骨細胞死を防ぐ作用があることを明らかにした。これらの結果は分子水素(H2)が関節疾患の予防に有用である事を示唆している。